それは、わたしが小学生高学年のとき、下校の途中のことでした。
帰りの会で、今月の歌「つばさをください」を歌ったのがきっかけだったのでしょう。
一緒に帰っていた友人たちと道が別になり、ひとりになったのをいいことに、
「いまぁ わたしのぉ ねがいごとがぁ…」と、鼻歌を歌いはじめたのでした。
徐々に盛り上がり、サビのところにきて
「この大空に 翼を広げ 飛んでいきたいよぉ?」
と声変わりの時期の少年には少々きつい高音部を必死に歌います。
と、そのとき、背後にミョーな気配が。
なんと、隣のクラスの女子がニコニコしながらついてきています。
「いつから?」
「まさか、聞こえてた?」
「やべぇ、やけに必死に歌ってたよね、いま…」
急に恥ずかしさがこみあげ、シュンとなった私の脇を、
その女の子は通り過ぎながら、ひとこと。
「上手だったよ」
「ガーン!! やっぱり聞かれてた…」
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